9日の欧米の外国為替市場では円相場が急落し,一時1ドル=115円台をつけた.約10個月ぶりの円安ドル高水準.前日の欧州中央銀行による量的金融緩和策の延長決定を受けたユーロ売りドル買いが,円売りドル買いに波及した.
米国や中国への出張時に換金した米ドルUSD,中国人民元CNY,香港ドルHKDが箪笥預金になっています.1箇月以上音沙汰ないローン借換の手数料に充てるため,円安になったら日本円に戻そうと思っていました.
ただ,予め線引きしておかないと,「もっと円安になるかも」との期待から,いつまでも換金に踏み切れない恐れがあります.ということで設定するこの手の閾値,職業病か理系の性か,大抵μ+σにします.μは平均,σは標準偏差(ばらつき)です.正規分布に従う場合,μ以上になることがあるのは50%,μ+σ以上は16%です.外為なのでやや長い目で変動を見ておこうと思い,直近3年間の換金レートを統計処理することにしました.
なかなか閾値を超える円安水準になってくれませんでしたが,今朝の新聞記事を見て,再集計してみました.みずほ銀行がWebで公開しているCSVデータを使っています.結果は下表のとおり.
|
USD/JPY |
CNY/JPY |
HKD/JPY |
平均μ |
111.639 |
17.592 |
14.393 |
標準偏差σ |
8.252 |
1.455 |
1.065 |
変動係数σ÷μ |
0.074 |
0.083 |
0.074 |
換金基準μ+σ |
119.891 |
19.047 |
15.458 |
直近3年の平均,1ドル=112円よりは円安になっていますが,為替変動からすると,もっと円安になることはまだ考えられそうです.現在の1ドル=115円=μ+0.4σは,正規分布表を参照すると,66%になります.つまり,3年スパンで見ると,3回に2回は1ドル=115円になってもおかしくない程度というレア度.箪笥預金はまだ寝かすことにします.
ちなみに,米ドルの換金レートが8.252も右往左往するのに対し,香港ドルは1.065しか右往左往しません.だからといって,米ドルの為替変動の方が大きいのではないかと思うのは早合点です.1億人に対する1人分のウェートと,10人に対する1人分のウェートは違うでしょう.この辺を比較する基準として,変動係数なるものがあります.この変動係数を見るに,米ドルも香港ドルも変動っぷりは同じってことっすな.